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プログラミングとか趣味のこととか

新入社員研修のサブ講師をして学んだ事

はじめに

4月の末から20日間(プログラミングとインフラの研修を10日間づつ)に渡り、 とある企業の新入社員研修のサブ講師をしてきました。 本当に大変だったけど、学んだ事がたくさんあったので、忘れないために、ブログにまとめておこうと思います。

Teaching is...?

従来の講義形式では身につかない

メインの講師が前で講義を行い、サブ講師が受講生の質問に答えるというスタイルの講義形式を想定していました。
座学の形式ですね。

これでは、受講生は眠くなってしまうし、自ら学ぼうとする意識が芽生えずモチベーションも上りません。
なので、座学形式での研修はすでに成り立たなくなってきているとのことでした。

受講生が講義を通して何を学ぶのか。
興味や目的意識、競争環境を作り、受講生が自ら積極的に学ぼうとする意識づけをすること(ARCSモデル)が大切だと、先輩講師から教えてもらいました。

でも、これめちゃくちゃ難しい!

メイン講師と毎日PDCAを回して、より良い講義形式にしようと協議しました。
これは良い取り組みだったと思います。

例えば、

  • 講師が課題を与え、それに対して何人かでディスカッションをし発表しあう
  • 受講生が講師の立場となって教える
  • 実習の成果をプレゼンし、どこが良かったか受講生と講師で評価する

などを行いましたが、受講生のやる気スイッチを入れるにとても効果的でした。

自分で解決できる力を育てる

「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」というのは、有名な言葉です。

人に魚を与えてもその時は良いが、翌日また同じことで悩んでしまいます。
魚の釣り方が分かれば、一生食べていけることから、その人のためを思うならば、魚の釣り方を教えるべきと言われています。

これを講師の立場で心がけましたが、実践するのは中々難しかったです。
理由は、答えを教えてしまう方が簡単だから。

そこをぐっとこらえ、グーグル先生との上手なつきあい方、リファレンスの使い方などを伝えて自分で解決する方法(というより、解決する情報を入手する方法)を伝え、それでも分からないことは教えるようにしました。

ただ、プログラムで全く何を書いて良いのか分からない人には、横について一緒に作業をして(ペアプロで)、コーディングの流れを理解してもらうことも大事だったり。
結局は、人によって教え方を柔軟に変えないと行けないのかなとは思います。

抽象化能力は必須

何かを教える時、ありのまま伝えても理解することはなかなかできません。

例えば、Webサーバーとアプリケーション・サーバーのそれぞれの役割を説明する場合、

Webサーバーは、ユーザのリクエストを受付け、アプリケーション・サーバーに渡し、結果を返す。
アプリケーション・サーバーはリクエストに合わせた処理を行い、処理結果をWebサーバーに返す。

などと説明しても絶対に理解してもらえなません。
(上の説明も言葉が足りなくて分かりにくいというのもありますが、、、)

そうではなく、身近なものに例えて伝えて伝えることが大切で、
例えば、お客さんの電話対応を例に取って説明すると理解しやすいです。

  1. まず、お客さんからの問合せ受付をオペレータが行います。
  2. オペレータが処理できるものは自分で処理しますが、調査が必要なものは専門部署に問合せを行います。 (その間、お客さんにはお待ちいただきます。)
  3. 専門部署は、オペレータからの問合せを受け、調査した結果をオペレータに伝えます。
  4. オペレータは調査結果をお客さんに伝え対応を終了します。

この場合のオペレータが Web サーバー、専門部署がアプリケーション・サーバーです。

と、専門的な説明を行う前に身近な例を出すことでイメージしてもらうことが大事です。

この身近なものに例えて伝える能力で絶対に欠かせないのが抽象化能力。
この能力が乏しいと身近な例との関連付けができません。

物事を抽象化して捉える、身近なものと関連付けることができれば、こうした説明をすることが可能です。

この能力を磨くことができれば、伝える能力が向上するはずだと気づきました。

ベクトルは自分ではなく受講生に向ける

受講生には講師から積極的にコミュニケーションをとらないと駄目です。
分かってはいたことだけど、最初はどう声がけしていいのか分からずにかなり悩みました。

これは心構えですが、いかに自分にベクトルを向けて生活していたかに気付かされました。

最初、受講生の質問に答えられなかったり、間違ったことを答えて馬鹿にされるのは嫌だなと考えていました。
これは、自分がどう思われるかばかりを気にかけ、受講生を全く見ていません。
自分にベクトルが向いている状態。

これが受講生に積極的に声がけできない原因だったのは言うまでもありません。

こんな気持ちで講師をしていた自分をめちゃくちゃ恥じました。
これでは駄目だと早い段階で気づき、

  • 受講生に何を伝えられるか
  • どうしたら受講生に違った視点を与えられるか

など、受講生に意識を向けることで、受講生とスムーズに話すことが出来るようになりました。

正直、間違ってしまったことを伝えてしまってもゴメンと謝れば問題ありませんでしたし、それによって受講生との信頼関係が壊れることはありませんでした。
杞憂でしたw

相手の言っていることを正確に理解する

受講生から質問された内容を間違って把握することが良くありました。
受講生の質問を2人の講師で聞いた時、講師間で答える内容が異なるという。
そして、たいてい私が受講生の質問の意図を正しく把握できていません。

他人の言っていることを、正確に理解することは本当に難しいと感じました。

理由を考えてみると、相手の言った曖昧な部分を無意識のうちに自ら補完し、その部分の認識が違っているため話が噛み合わないことが多かった気がします。

これもコミュニケーションの課題の1つだと思うけど、コミュニケーションについては課題が山盛りなので、もっと勉強したいなと改めて思いました。

最後に

これまで、社内の新入社員研修を少しやった程度の経験しかなく、サブ講師とは言え50名を超える人数の研修を担当したことはありませんでした。

最初は不安で仕方がなく、研修が始まった時は、正直20日間もたないと思った。
自分の力不足に悩み、何度も心が折れそうになった。
最初の10日のみにしておけば良かったと何度も後悔したw

でも、終わってみれば多くの学びが得られ、とても貴重な経験をすることができました。
挑戦して本当に良かったと心から思っています。

今後、機会があれば今回の失敗を改善してまた挑戦したい。
でも、開発している方が自分の性分には合っているとは思っています。



講師をする前に読んだ本の感想 arfyasu.hatenablog.com